スクラッチ3.0が2019年1月2日に公式配信されます
2018年8月頃からベータ版(テスト版)として公開されていた「Scratch3.0」が、来月2日に公式配信されます。
大きな特徴は、
だと思います。
HTML5で動作する、とは
「HTML5で動作する」ってどういうことかと言うと、ずばり、
タブレットやスマホでも使えるようになる!
です。
スクラッチ2.0オンライン版は、Flashという技術を使っていましたが、このFlashを利用するにはFlashプレイヤーをインストールする必要がありました。
ところが、Flashはタブレットやスマホには対応していませんでしたので、スクラッチで作った作品をタブレットやスマホで見たりすることができませんでした。
スクラッチ3.0では、これが解消したので、タブレットやスマホでも作品を見ることできるようになりました。
タブレットやスマホでスクラッチの作品を手軽に見ることができるようになるのは、すごくうれしい機能です。
子ども達が作った作品を、パソコンのない環境でも、パソコンを持っていない方にでも、みんなに見せることができるということなので、例えば、
夏休みの自由研究で作ったスクラッチ作品を、学校のクラスでタブレットで発表する、
ということができるようになりますし、
パソコンをお持ち出ないご家庭や、おじいちゃん・おばあちゃんにも、手軽に見てもらうことができるようになりますね。
タブレットやスマホでも使えるとはいうものの、少しだけ注意点があります。
注意点1:タブレットでも作品は作れますが、当初は一部の命令ブロック(「()キーが押された」、右クリック)が使えないようです。2019年中には対応するとのことなのですが、ぜひ夏前までにアップデートしてほしいです。
注意点2:スマホですが、残念ながらこちらは「閲覧のみ」です。(作成、編集できません)
でも「閲覧」はできますので、スクラッチ3.0でスマホwebアプリを作れそうです、楽しみです!
拡張機能が増えた
もう一つの特徴は、「拡張機能」が増えたことです。
「拡張機能」とは、追加の命令ブロックを使えるようにする機能です。
ベータ版ではすでに「micro:bit」「翻訳」「Text to Speech」という機能が提供されています。
ベータ版ってどんな感じなんだろう、と見ていた時に「おお」と思ったのが、この拡張機能に含まれる「翻訳」や「Text to Speech」です。
「翻訳」は、外国語への翻訳をしてくれるブロックです。(12月19日時点で60ヵ国語を選べました。)
「Text to Speech」は、文字や文章を、音声で読み上げてくれるブロックです。(12月19日時点で14ヵ国語を選べました。)
なぜ「おお」と思ったかと言うと、実はこの「翻訳」「Text to Speech」という機能は、AIと呼ばれるサービス(IBMのWatsonや、GoogleのCloudなど)で提供されている機能なんです。
WatsonやGoogleCloudなどで、IBMやGoogleの開発したAIを使った「翻訳」や「Text to Speech」を試そうと思うと、一般的なプログラミング言語でプログラムを作る必要があります。
そしてその使い方なども、ときに英語のリファレンスを見ながら悪戦苦闘することになります。
そういった機能がスクラッチ3.0で使えてしまう!というのが、驚いた理由でした。
Scratch3.0のサイトによると、
「新しい拡張機能は随時追加されるため、Scratchは日々成長します。」
とのこと。
「ふーん、そうだよね、インターネット上にあるし」と思ったりするのですが、実は、この「常にアップデートされ続ける」ということを体験できるのは、すばらしい、と思います。
というのも、少し前までのプログラムは、「完成品ができたら販売して終わり」という売り切り型のモデルでした。
ところが最近は、常にインターネットにつなげることができるので、「最初にプログラムをリリース(販売)」した後も、ユーザーの反応などに合わせて随時「アップデートしていく」という、モデルが多くなってきています。
身近な例でいうと、GoogleのGmailがあります。
Gmailは2004年にリリースされた時は「Gmail ベータ版」でしたが、2009年にようやく「ベータ版」の文字が消えて「正式版」になりました。つまり、「アップデートを前提としたサービス(プログラム)」ということなんです。
その他に、スクラッチ2.0を使っている立場から気になって確認したこと。
スクラッチ3.0が楽しみである反面、「どうなるんだろう」と気になったことがあったので、少し調べました。
・オンライン版(ユーザー名とパスワードでログインして使うタイプ)は、1月2日にスクラッチ3.0に変わってしまう。
・スクラッチオフライン版(1.4、2.0)は残るので使える。
・スクラッチ2.0(オンライン版)で保存されているプロジェクト(作品)は、スクラッチ3.0へ引き継がれる。
・パソコンに保存してある作品(sb2ファイル)もスクラッチ3.0へアップロード可能。
桃井プログラミング教室でも、2019年からはスクラッチ3.0でレッスンをしていく予定です。
参考サイト
Scratch 3.0 ベータFAQ – Japanese Scratch-Wiki
Scratch3.0について話し合う所 – Discuss Scratch